近年、社会情勢や情報媒体の変化により、BtoB領域でのマーケティングが注目されるようになっています。今回は、基本的なBtoBについての概要からBtoBマーケティングが注目されるようになった時代背景、BtoBマーケティングで押さえておくべきポイントまでご紹介いたします。
BtoBマーケティングへの理解を深めたい方、BtoBマーケティングで成果を残したい方、新規顧客のアポイントが取れず悩んでいる方にとって参考になる内容となっています。
ぜひ最後までお読みください。
1.BtoBマーケティングの概要
1-1. BtoBマーケティングとは?
BtoBマーケティングとは、法人向け製品やサービスのリード獲得から商談、契約までを含めた一連のマーケティング活動を指します。
BtoBマーケティングの特徴として、下記の3点があげられます。
- ターゲットや見込み顧客が限定的
- 購買に関わる人が多い
- 購買の検討期間が長い
BtoBマーケティングは商材の単価が高額になるケースが多く、意思決定に関わる人数も多いため、購買の検討期間が長くなる傾向にあります。数か月から数年単位で検討されることもあるため、中長期に渡って関係性を築き、的確なタイミングで受注につなげるアプローチをとることが重要になります。
1-2. BtoCマーケティングとの違い
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの最大の違いは、顧客です。
上述したように、BtoBマーケティングでは、主に企業が顧客(各種団体なども含む)になりますが、BtoCマーケティングは個人(一般消費者)が顧客になります。
他には、BtoBとBtoCとの違いとして主に下記の図のような項目が挙げられます。
2.BtoBマーケティングが注目されるようになった時代背景
近年、インターネット技術の発展が企業のマーケティング活動に大きな影響を与えています。重要なのは、企業側のできることがどんどん拡大したように、顧客の行動もどんどん拡大し、変化しているということです。
以降では、3つの視点から、改めて顧客に起こっている変化を整理していきます。
2-1. 顧客の情報収集先の変化
1つ目は、顧客が持つ情報入手先の変化です。スマートフォンやタブレットなどのデバイスの多様化と普及に関連して、顧客の情報源も検索エンジンやSNS、webメディアなど多様化しました。
従来は顧客の立場で製品やサービスの情報を調べるためには一定の労力が必要でした。製品やサービスについての情報を得るために展示会に出向いたり、カタログをもらったり、営業担当を呼んで商談をしなければなりませんでした。
しかし、情報源が多様化したことで、顧客側の情報収集が容易になり、インターネット上だけで情報収集ができるようになりました。営業活動を行う企業側の視点に立てば、営業にはもう「情報提供という機能」は求められなくなったとも言えます。
ですがこの状況は悪いことだけではありません。
スマートデバイスは1人で1台を利用することが多いため、顧客一人ひとりに最適化したより精度の高いマーケティングにつなげられる可能性が高くなりました。
顧客がアクセスすることの多い情報源をしっかりと網羅し、デジタルマーケティングで継続的かつ包括的にアプローチすることができれば、企業ブランドや商品、サービスの強力なファンを獲得することができるようになります。
2-2.顧客の行動範囲の変化
もう一つの重要な変化は、顧客の行動範囲の変化です。
トライベック・ブランド戦略研究所が行った「BtoBサイト調査 2016」では、仕事上の製品・サービスの情報源として、企業のWebサイトが最も多く参照されており他の情報源を大きく上回っています。なんと「営業員・技術員の説明」を20ポイント近く離しています。
製品・サービスの情報源は、"営業担当者に売り込みを受ける"時代から、"Webを使って自ら見つけ出す"時代へと確実に移行したことがわかります。
ウェブサイトでの情報収集が容易になったことで、今まで取引のなかった企業にも気軽に問い合わせができるようになりました。顧客がインターネットを使ってできることが圧倒的に増え、単純に営業がマンパワーで努力をするだけでは対応できないほどに顧客の行動範囲が広がりました。
2-3. 感染症拡大により対面営業が困難になった
デジタルマーケティングが注目される3つ目の理由は、パンデミックを巻き起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)です。
世界各国で外出が制限され、仕事はテレワークが推奨されるなど、対面でのコミュニケーションが著しく制限されるようになりました。その結果、新たな顧客との接点を模索せざるをえなくなり、デジタルシフトが進みました。
これまで開催されてきたリアルのイベントや展示会、セミナーに代わってウェビナーが増加したり、動画を含めたデジタル広告をスタートしたりと、見込み顧客獲得の手法が変化しました。
これに伴い、デジタル技術を駆使したマーケティングに注力する企業が増えています。
3.BtoBマーケティングで押さえておくべき成功ポイント
BtoBマーケティングで成功しようと考えた時に、顧客とのコミュニケーションの大切さは理解していても、「ITツールの導入」や「マーケティングトレンドに上がっている施策」などの小手先の対応で解決できると思われがちです。
しかしどのような対応を取るにあたってもBtoBマーケティング担当者が必ず押さえるべき3つのポイントがあります。
3-1. 顧客ニーズの理解を深める
BtoBマーケティングのターゲットを考える場合、事業としてのターゲットを明確に定め、顧客の悩みや目的などのニーズの理解に努める必要があります。
実際に顧客にヒアリングすることで具体的なターゲット像をイメージすることが重要です。狙おうとするターゲットが実際にどのくらい存在し、集客や広告を通じてアプローチすることができるのか、把握することで具体的な施策の提案につながります。
また、業種・職種・規模・役職だけでなく、ターゲットの意思決定の状態がどこにあるかも重要です。
- まだ悩んでいる段階なのか?
- すぐにサービスを調達しようとしている段階なのか?
といった、どの検討段階にいるのかということです。
検討段階によって顧客が求める情報や要求も変わってきます。これらを意識せずに、大きく一つのリードとして捉えてしまうと、それぞれのリードに対して適切なコミュニケーションを築くことが難しくなります。
そのため、ターゲットの意思決定の状態をしっかりと検討したうえでBtoBマーケティングを行っていく必要があります。
3-2. 社内での情報連携をする
BtoBマーケティングにおいて戦略を実施しようとするとき、練り上げた構想をプロジェクトとして作業分解し、さまざまな協力を得ながら推進していく必要があります。マーケティング部門だけが頑張っても売り上げを達成できるものではなく、組織の上下左右にわたるハードルを越えなければなりません。
ウェブマーケティングの実行・推進には組織の上下左右すべての協力が必要です。どんな崇高な戦略も、どんな緻密な戦術も実現するためには組織のハードルを越え、実行力を高めていくことが不可欠です。
3-3. ツールを導入する
マーケティング施策を展開するには、上述したニーズ分析からはじまり、コンテンツ作成、メール配信などを行う必要があります。それだけでなく、大量の顧客情報をひとつひとつ精査してそれぞれに適切な対応を行わなければなりません。
これらを人の手のみで正確に行うのは理想的ではありません。
これらの問題を解決するためにはITツールを導入するのがよいでしょう。
マーケティング業務に最適なツールを使用することで、効率化や、詳細な効果検証が可能になります。
より詳しい情報はこちらの資料をご参照ください。
3-4.ツール導入や施策実行の目的を明確にする
ITツール導入にあたってよくある問題として、周りの企業が導入しているから、トレンドだからといった理由で導入をしてしまうことです。
ツールの導入が目的化してしまうと、期待する効果が得られなかったり、導入した後に使いこなせないといった事態も想定されるため、ツールを導入する目的や、導入後どのように使うのか、などを事前に整理しておくことも重要となります。
たとえ目的を見誤ってしまうと適切でないツールに大量のコストを投入してしまったり、あれもこれもと色んな施策に手を伸ばしたものの成果につながらずリソースだけが消費される…といった非効率も発生してしまいます。
自社の課題や置かれている状況によって、導入すべきツールや実行すべき施策は変わってきます。なんのためにツールの導入や施策を実行するのかといった目的をしっかりと明確化すべきです。
4. まとめ
本記事ではBtoBマーケティングについての基礎知識からなぜBtoBマーケティングが注目されるようになったか、そして成功に導くための具体的な成功ポイントまでご説明いたしました。
企業が競合他社との差別化を図り、市場の競争優位性を確立するためには戦略的なマーケティングが求められます。とくに企業間取引が主体となるBtoB企業では、一般消費者に向けたマーケティングとは異なるアプローチが必要です。
マーケティングの基本的な考えである「顧客理解」という視点を忘れずに、顧客がどのような立場に置かれているのか、またどんな課題を抱え、どのようなゴールを望んでいるのかといったニーズの理解をしたうえでマーケティング施策を成功に導いていきましょう。
次回はBtoBマーケティングの具体的な施策と手法についてご説明いたします。