1.はじめに
はじめまして。ビックデータ推進課のmokochan1101です。
前回まではデータサイエンティストに必要なスキルや統計についてご紹介しました。
ところで、集まったデータを活用できていますか?
どんなに大量のデータを保持していようが素晴らしいデータウェアハウスを構築出来ていようが、集まったデータを活用できていなければ意味がありません。これからはビッグデータがビジネス価値を生み出す時代です。データに含まれるパターンや傾向を明らかにすることで、より効率的にビジネスにアプローチすることができます。
そこで今回は、データサイエンティストが実際に行うデータ分析をテーマにお話ししたいと思います。データ分析とはどのような目的で、どういったプロセスを踏むのかお伝えします。
2.(企業活動における)データ分析とは
私の業務経験よりデータ分析の目的について説明すると、以下2つの側面が考えられます。
◆「企業内に蓄積された大量の情報資産を集約し、利用しやすい形で蓄積することで、迅速で最適なアクション、戦略的な意思決定の支援を通し、最終的に実績向上に役立てること」
◆「得られた情報資産を回帰的に集計・モニタリングすることに」より、ユーザの需要を予想し、設備やサービスなどのリソースを計画的に調達し、ユーザの必要に応じたサービスを提供出来るように備える行為(プロビジョニング)に役立てること
3.データ分析を行うための第一歩
それではデータ分析を行うにあたって、最も重要視される事は何だと思いますか。分析手法の理解でしょうか。それともBIツールの使い方や、経験に裏付けされた業務知見でしょうか。
◆データ分析を行うための第一歩は、信頼性の高い共通探索基盤(DWH)を構築すること
データ分析では、目的や手段を決めるプロセスにおいてデータベースの精度が問われてきます。そのため、 「分析」の観点から関連する企業内外の既存システムや基幹業務システムに蓄積された大量のデータを一元的に管理できる、信頼性の高いデータベースの構築が必要となります。
4.まず考えるべき分析プロセスの標準化
それでは次に、「アクションを起こす対象を導くため」のデータ分析のプロセスに触れてみます。マーケティングやマネジメントの世界では当たり前の表現となっていますが、データ分析においてもPDCAサイクルが存在します。
データ分析のPDCA※1
◆仮説立案と分析設計(Plan)
調べる目的は何なのかをまず知る必要があります。過去の実績より属性や傾向を検証し、分析の対象や目的について自分なりの考察・ストーリーを持ちます(仮説)
サイクルの2周目以降は、前周の結果の解釈より得られた情報を回帰的に過去の実績として検証し、仮説を立てます。
◆データ収集と集計(Do)
施策等を通して、仮説を実践します。
◆結果の解釈(Check)
実践した施策の効果を検証します(効果検証※2)これにより、仮説と実績の乖離が判明し、また、思いがけず効果が見られた対象(セグメンテーション)が導き出されるケースもあります。
※2効果検証については、次回以降に触れる機会があればお話ししたいと思います。
◆示唆・提言(Action)
結果の解釈より、示唆出しを行います。示唆で出すのは仮説の補強ではなく、データから言えることを軸に、事実に基づいた解釈を導出します。
※1PDCA:1950年代、品質管理研究の第一人者であったアメリカの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士とウォルター・シューハート博士によって提唱された、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善を促す技法
5.おわりに
私もはじめは「データ分析」という言葉だけが先行し、ただ何となく「世の中で流行りのことをやっているんだな」くらいの意見しか持っておらず、実際の概念や進め方について理解する事が出来ませんでした。それでも業務で携わる機会があったことから少しだけ興味を持ち自分なりにリサーチしてみると、
データ分析の技術はそれほど最新の技術ではなくかなり昔から行われていることが分かりました。特に、マーケティングや医療系の分野ではかなり早い時期から行われている手法であったのです。
そして近年では大手メーカーだけではなく、ユーザ自身でもデータ分析を行っています(いわゆるセルフBI)。私の会社はソフトウェア開発がメインですが、ソフトウェアの進化に適応していく(世の中のトレンドに適応していく)という意味では決して無関係ではなく、また、企業活動を行っていく上ではデータの分析(売り上げや原価率を考えるなど)は不可避なのではないでしょうか。
今回はデータ分析の概念に触れたはじめの一歩です。
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