皆さんこんにちは。株式会社シー・エス・エスのサットンです。
2024年も残りあとわずか!いよいよ2025年の始まりですが、2025年は何かと話題の年ですよね。国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)になり、労働人口の不足や医療体制のひっ迫などが予想されている2025年問題や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できず国際競争力を失うとされる2025年の崖。ネットでは2025年7月5日に大災難が起こるなどと騒がれており、2025年にいったい日本はどうなってしまうのかと心配になります...。
2025年問題やネットの噂も気になるところですが、今回は2025年の崖に焦点を当て、企業はどのようにすれば直面する課題を乗り越えられるのか、その方法とステップを具体的にご紹介したいと思います。
2025年の崖とは
2025年の崖とは何のことでしょうか。聞いたことはあっても、具体的に知らない方は多いと思います。中小企業経営者を対象に行ったある調査では、知らないと回答した人が8割にも上ったそうです。
2025年の崖とは、レガシーシステムによって発生する様々な問題のこと
経済産業省の警告
2025年の崖とは、日本の経済産業省が「DXレポート」で指摘した問題で、国内の企業が抱えるレガシーシステムの問題によって発生する様々な問題のことをいいます。2025年までにレガシーシステムから脱却しDX推進をしていかないと、日本全体で最大12兆円もの経済損失が出るといわれているんです。でも、なぜ2025年なのでしょうか。
2025年にレガシーシステムが限界を迎える
なぜ2025年かというと、2025年がレガシーシステム刷新のタイムリミットとされているためです。
レガシーシステムは、旧式のソフトウェアやハードウェアが使われているため、開発された時代や技術の制約から、最新の技術やセキュリティ基準に対応できない場合が多く、システム更新や拡張が困難になっているんです。
また、レガシーシステムは、複雑な構造や独自の仕様を持つため、理解や保守に高度な専門知識が必要となり、人材不足が深刻化しています。
日本では、1980年代から2000年代初頭にかけて多くの企業が基幹システムを構築しました。これらのシステムは2025年までに運用開始から約25年以上が経過し、技術的にも運用的にも限界を迎えるとされています。
2025年以降もレガシーシステムを使い続けることで、企業は以下課題に直面すると考えられているんです。
老朽化による障害が発生する
長期間使用されたレガシーシステムは、ハードウェアやソフトウェアの老朽化により障害を起こしやすくなります。また、障害により基幹システムが停止すると、取引や顧客対応が滞り、損害賠償や信頼喪失につながる可能性があります。
更新部品の不足など、運用・保守が困難になる
ハードウェアの供給が終了し、代替品を探すためのコストや手間が増えます。また、レガシーシステムに対応できる専門知識を持つ技術者(例:COBOLエンジニア)が高齢化により引退していくことが予想されます。新しい技術を学びたい若手エンジニアにとっては古いシステムの運用は魅力がないため、少子高齢化もあいまって、運用・保守ができる人材の確保はますます難しくなるでしょう。
セキュリティリスクの拡大
サポートが終了した古いOSやソフトウェアではセキュリティアップデートが提供されず、脆弱性が放置されることになります。レガシーシステムは新しいセキュリティ技術と互換性がないため、サイバー攻撃の標的になるリスクが高まります。
新規サービス開発など、DXが推進できない
レガシーシステムは、クラウドやAIまたIoTなどの最新技術との互換性や統合が難しいため、新たなビジネスモデルへの対応やデジタル化およびDXの進展を阻害する要因になります。古いシステムの仕様に業務が縛られ、柔軟な運用ができずに業務効率が下がっていくことも考えられます。
いかがでしょうか。これらの課題により、企業の競争力がどんどん低下し市場シェアを失ったり、システムを維持するための短期的な修正を繰り返すことで累積コストが増大したり、年数が経つほど問題がより深刻になっていきます。
経済産業省は、2025年までにこれらの課題を解決しなければ、日本の経済成長が大きく阻害される可能性があると警告しているんです。
レガシーシステムに依存し続けDX推進が遅れることで、日本の企業はグローバル市場で競争に勝つことが難しくなるといわれています。
レガシーシステムからの脱却方法
DX推進を進めるために必ず必要なレガシーシステムの脱却。このレガシーシステムから脱却する方法は、大きく2つあります。
それが「マイグレーション」と「モダナイゼーション」です。
レガシーシステムを新たな環境に移行するマイグレーション
マイグレーションとは、レガシーシステムを新しいシステムに移行することをいいます。また、ただ古いシステムから新しいシステムに移行するのではなく、オンプレミス環境からクラウド環境(AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど)に移行するマイグレーションのことをクラウドマイグレーション(クラウド移行)といい、コスト削減や競争力UPを目指している企業におすすめのマイグレーション法となります。
クラウド移行のメリット
- コスト削減
クラウド環境では、物理的なインフラ設備の維持管理費用が不要になります。また、従量課金制を採用しているため、必要な分だけリソースを使用し、無駄なコストを削減できます。初期投資を抑え、柔軟にスケールアップ・ダウンできるため、コストの最適化が可能です。
- 競争力の強化
クラウドに移行すれば、AI、ビッグデータ分析、機械学習、IoT、コンテナ技術、サーバーレスなど、常に最新のインフラやサービスが提供されるので、ビジネスモデルを市場の変化に合わせて迅速に変えたり、より競争力を高めることができます。
一方オンプレシステムでは、最新技術を導入するにはハードウェアの購入やソフトウェアのアップデート、大規模なインフラの変更が必要になり、時間とコストがかかってしまいますよね。
▶クラウド移行でコスト削減!あるコンサルティング企業の成功事例
レガシーシステムを新しく刷新するモダナイゼーション
もう一つの方法はモダナイゼーションです。モダナイゼーションは、レガシーシステムをゼロから新しいシステムに置き換えるのではなく、レガシーシステムを改良・更新して、今のビジネスニーズや技術に対応できるようにすることです。
レガシーシステムを新しい環境に移行するマイグレーションと違い、レガシーシステムを最新の技術やアーキテクチャに合わせて「作り変える」イメージですね。
既存のインフラ投資を活かしたい企業や、すぐにクラウド移行を行うのは難しいという企業にはモダナイゼーションをおすすめします。
モダナイゼーションのメリット
- 業務に大きな影響を与えることなくレガシーシステムから脱却できる
モダナイゼーションは、業務に大きな影響を与えることなく、長期的にレガシーシステムから脱却、システムの進化を促すことができます。
複雑で大規模な業務プロセスやカスタマイズされたシステムを持つ企業では、すぐにクラウド移行を行うのは難しい場合があります。モダナイゼーションであれば、必要な部分から改善を進めていくため、すぐにでも業務に適した最新の技術を取り入れられます。
- 初期投資を活かせる
レガシーシステムを改良していくモダナイゼーションであれば、現在のインフラやソフトウェア資産を最大限に活用できます。
既に高額なオンプレミスシステムやインフラに投資している企業であれば、完全なクラウド移行はコストがかかりすぎる場合もありますよね。無駄なコストを避けつつ、システムのパフォーマンスや信頼性を向上させることができるのがモダナイゼーションになります。
レガシーシステムから脱却し、DX推進を行うステップ
レガシーシステムからの物理的な脱却方法はわかっても、それを社内で推し進めていくのが一番難しい点です。
DXを念頭に、レガシーシステムの脱却を進めるためには、まず企業の意思決定者や関係者が「脱却が必要である」という認識を深めることが重要です。
現状では問題が発生していないからこそ、企業はすぐに変革を必要としないという状態にあります。
しかし、企業の存続や競争力強化のためには、2025年問題や将来的なリスクを見据えて計画的にレガシーシステム脱却を進めることが非常に重要なんです。
レガシーシステム脱却を確実に進めるためには、次のような手順を踏むことが効果的です。
1. 将来のリスクを明確に認識する
まず、2025年問題や将来的なリスクに関する理解を深めていくことが重要です。
例えば、人材不足や運用コストの増加、競争力の低下など、未来に起こり得るリスクを具体的なデータや事例を交えて考えます。これにより、今すぐの問題がない状態でも、将来のビジネスに対する影響を把握し、脱却の必要性が認識されやすくなります。
2. レガシーシステムの現状分析や評価を行う
レガシーシステムがどれほど将来的なリスクに影響を及ぼすかを具体的に分析することが、脱却の動機づけに繋がります。以下のような観点で現状を分析し、将来どのような問題が起こり得るかを見積もりましょう。
- システムの構成と機能 :今後のニーズに対応できるか
- 保守性、運用コスト:将来どれだけ保守の手間がかかるか、運用コストが増加するか
- データの量と種類:今後それらのデータをどう活用できるか
- システムの稼働状況:どれだけ安定して運用されているか、ダウンタイムや障害の頻度はどうか
- セキュリティ対策:サポートが終了した場合に生じる問題やセキュリティリスクはどうか
- 人材状況:今後も必要なスキルを持った人材の確保ができるか
- 競争力:新しい技術や市場の変化に追随し、ビジネスの競争力を維持できるか
これらの情報を分析することで、レガシーシステムの課題を明確化し、適切な施策、マイグレーションやモダナイゼーション戦略を考えることができます。
3. 専門家やコンサルタントなど、外部支援を活用する
企業内部での改革に加えて、外部の専門家の協力を得ることで、効率的なシステム改善が可能です。外部の専門家は、最新の技術やノウハウを有しており、企業内部では得られない視点やアイデアを提供することができます。
また、外部支援を活用することで、人材不足の解消やプロジェクトの効率化にも繋がります。システム開発会社やSIerにシステムコンサルティングのサービスがあったりするので、セミナーや無料相談など積極的に参加し情報を集めていきましょう。
まとめ
2025年の崖とは
2025年の崖とは、日本の経済産業省が「DXレポート」で指摘した問題で、レガシーシステムから脱却しDX推進をしていかないと、最大12兆円もの経済損失が出ると言われていること。
レガシーシステムからの脱却方法
レガシーシステムを新たな環境に移行するマイグレーションと、レガシーシステムを新しく刷新するモダナイゼーションがある。
マイグレーションにはクラウド移行をするクラウドマイグレーションがあり、コスト削減や企業の競争力を高めたい企業に向いている。
モダナイゼーションは、クラウド移行ができない企業や、既存のインフラやソフトウェア資産をそのまま活用したい企業に向いている。
レガシーシステムから脱却しDX推進を行うステップ
1. 将来のリスクを明確に認識する
今はまだ発生していないが、未来に起こり得るリスクを具体的なデータや事例をもとに認識し、レガシーシステム脱却の必要性を考える。
2. レガシーシステムの現状分析や評価を行う
現在のシステムの稼働状況や、将来の運用・保守コスト、セキュリティ対策など、レガシーシステムを使い続けることが将来どれほどのリスクをもたらすか、具体的に分析する。
3. 専門家やコンサルタントなどを活用する
外部の専門家の協力を得ることで、効率的なシステム改善が可能。セミナーや無料相談など積極的に参加し情報を集める。
2025年のDX推進に不可欠な要素
2025年の崖を乗り越えDXを成功させるためには、技術革新だけでなく、組織文化や人材の意識改革も重要です。企業全体でデジタル化への理解を深め、変化に対応できる柔軟な組織体制を構築することが求められます。
また、従業員のデジタルスキル向上のための教育や研修プログラムを導入し、DX推進を担う人材育成に力を入れることも大切です。
企業の明るい未来はレガシーシステムの脱却から始まります。2025年の崖を乗り越え、DXの波に乗り遅れないために今すぐ行動してみませんか?まずは情報を集めるところから。弊社では無料相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
デジタルマーケティング部
ニックネーム:サットン
経歴:大学卒業後はフォワーダーとして国際貨物の輸送業務に従事。その後プログラミングとデザインを学びWebデザイナーにキャリアチェンジ。中小企業のコーポレートサイト制作を通じてWebマーケティングにも携わるようになる。現在はシステム開発会社、株式会社シー・エス・エスのデジタル・マーケティング部でIT関連のお役立ち情報を届けている。
好きなもの:犬、古畑任三郎、音楽
一言:高校時代にガールズバンドを組んでいました。カラオケの十八番は、相川七瀬の夢見る少女じゃいられないです!