こんにちは。ファイナンシャルソリューション開発部 信岡です。
気が付くと今年もあと1か月を残すところとなりました。11月が終わると、本当にあっという間に年末を迎えてしまいます。そんなタイミングで、改めて今年1年を振り返ってみたのですが、私自身にも関係して世の中でも大きな話題となったニュースに10月に発生した全銀ネットのシステム障害をがあります。私自身は特に生活には支障がなかったですが、趣味でやっているサックス仲間の1人はお金が振り込まれずに結構大変だったと言ってました。皆さんの中にも「給与が振り込まれない」「支払いが出来ない」などの影響を受けた方もいると思います。
システムには多種多様な物が存在しますが、銀行システムというものは特に「動いて当然、動かないと大変な事になる」モノになります。これらは銀行システムだけでなく、何年か前に発生したauの通信障害などもコレに該当しますね。今回は良い機会ですので、こういったシステムと関わる場合に必要となる心構えなどを含めて銀行業務とシステム開発との関連性についてみなさんにお知らせしたいと思います。
3つの銀行業務
まず前提知識として、銀行業務は単純化すると以下の3種類になります。
- 預金業務 ・・・ 銀行が顧客のお金を預かる
- 融資業務 ・・・ 銀行が顧客にお金を貸す
- 為替業務 ・・・ 銀行が顧客の要請で振込や送金を行う
1つずつ例を説明していきましょう。
預金業務
「預金業務」は、預金者の資産を管理・保管する業務のこと。
単純に銀行に普通預金口座や定期預金口座を開設した際、これを預かって管理する仕事です。
融資業務
「融資業務」は、預かったお金を元手に貸し出しを行うこと。
個人で利用する物として一般的には住宅ローンがそれにあたりますね。
最近ではどこの銀行もやっているカードローンもそれに該当します。
為替業務
最後の「為替業務」ですが、これが単語だけだとピンのこないかもですが、
お金の受け渡しを現金ではなく、銀行口座間の資金移動等によって行う業務です。
ATMでの他行への振込、他行ATMでの出金とかがそれにあたります。
個人では身近ではないですが、単語をよく聞く手形とか小切手の処理もこれに該当します。
銀行のシステム
これらの主要業務を処理するシステムが、銀行の「勘定系システム」です。
銀行によってはシステムの呼び方やシステムの分割方法が異なる場合があります。
そのため一口に「勘定系」といっても、どの業務を処理するシステムなのかによって、
業務要件・システム要件が異なるため注意が必要ですがこれが銀行システムの根幹になります。
その根幹以外にも、その他の銀行業務を処理・サポートするシステムとして
取引データをもとに、営業などの業務支援機能を作るシステム、営業店窓口の事務処理をおこなうシステム、グローバル企業などが利用する外国での預金、融資、為替を行うシステム、などなど多岐にわたるシステムが存在します。
なので、色々と記載しましたが正直いって、個人でこれらの業務の詳細をすべて網羅するのは不可能です。
そもそも、私が携わった銀行の勘定系システムでも預金担当、融資担当、為替担当はそれぞれ別々の担当者がいる状態で預金担当の人は融資や為替に詳しくないってパターンがほとんどです。
銀行案件に携わる際のマインド
では、実際にどういう形でシステム開発する際にこれらの知識と付き合っていけばよいのかといった部分ですが、これは実際に担当するシステムが決定した際に覚えていくしかありません。
ただ、一度経験してしまえば銀行毎に差異はあるものの、大きな流れに違いはないので、以前別銀行でXXシステムを担当していましたと言えば、次の仕事に繋がる財産となりえます。
そのため、今いる場所で貪欲に知識を吸収していき、自分のまたは会社の財産としていって下さい。
また、銀行システムの全体像だけでも把握しておけば、銀行システムの開発に参加した際に自分の担当する部分はどこにあたるのかが理解しやすくなると思いますので全体像についても学ぶ事に損はありません。
そういった知識を身につけ銀行システムに関係して上で忘れてはいけないマインドがあります。
それが冒頭でも触れた「動いて当然、動かないと大変な事になる」事を意識する事です。
逆にいうと「新規で本番リリースする際、既存本番に影響を与えないか」という部分に拘る事が大事になります。
本番でトラブルを起こす可能性がないか?
トラブル発生時のコンティンジェンシープランはどうなっているか?(すぐに元に戻せるか)
こういった事に注意してください。
これを読んだ貴方、そんな事はどんなシステムでも当たり前だと思うかも知れません。
でもハッキリいいます。私の10年以上の銀行システムの経験上、他業種から入ってきた人は高確率でこのマインドが足りてません。
しかも、今回の全銀ネットのトラブルがあった事で銀行システムを担当する会社はよりそのマインドが強くなる事が予想されます。
なので、銀行システム開発にかかわる場合、業務知識を身に着けるより前にこのマインドを意識してくようにして下さい。