新NISA ~システム開発の裏側のお話~


こんにちは。ファイナンシャル・ソリューション開発部のY.Tです。

私は、SEとして証券のバック業務のシステム開発に携わっております。日々、様々な開発を行っていますが、実際にどのような流れで開発を行っているか、2024年1月(もう間もなくです)から導入される、新しいNISAの対応を例に、”ふわっ”と説明いたします。

1.NISAとは

まず従来のNISAの説明をします。

株などの取引で利益が出た際、通常その利益から約20%を税金として取られますが、NISAで取引していると税金がかからないというものです。

NISAには3種類あり、取引できる限度額は一般NISA:120万円、つみたてNISA:40万円、ジュニアNISA:80万円となっていて投資家はいずれか1つのNISAで取引できます。

取引できる商品は株式・投信・外国株式です。

2.新NISAとは

2024年からは新NISAが始まり従来の3種類のNISAの取引はできなくなり、新たに2種類のNISAで取引することとなります。限度額は成長投資枠:240万円、つみたて投資枠:120万円となっており投資家は両方のNISAで取引ができ合計360万円分を非課税で取引できます。

 

NISAと新NISAの詳細については金融庁のホームページを参照してください。

www.fsa.go.jp

3.新NISAの対応の概要

新NISAの対応では以下のように幾つかのチームに分かれて開発を行いました。

  • 非課税口座開設
  • 株式
  • 投信
  • 外国株式
  • 非課税枠
  • 非課税残高

など

 

その中で私は非課税枠を担当し、限度額の設定や利用額の更新に関する箇所の対応を行いました。

従来のNISAは非課税枠が1つでしたが、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の2つとなるため、今までと違い非課税枠のレコード上に2つの非課税枠に関する金額を持たせる必要がありました。

そのため今回はレコード上の未使用エリアを非課税枠のエリアに変えて2つの非課税枠を管理することとなりました。

4.本番実施までの流れ

対応は以下のように調査から本番実施までを行いました。

①調査

・フォーマットをスキャンし未使用エリアを使用できるか調査する。

・システムフローの資料よりデータの発生箇所からデータの送信箇所までを追って修正プログラムなどの資源を洗い出す。

②外部設計

・他システムへの連携するHULFTデータのフォーマットに新NISAの金額を追加する。

※ここは決まった状態で修正がおりてきました。

③内部設計

・非課税枠レコードのフォーマットについて、未使用エリアを非課税枠のエリアに変更する。

※ここは決まった状態で修正がおりてきました。

・調査で上がったプログラムなどの資源を確認し、新NISAの金額を計算したり引き継いだりできるようにする修正方法を記載した設計書を作成する。

・非課税枠レコードの未使用エリアを非課税枠エリアに変更するデータの初期移管の方法を記載した資料を作成する。

④開発

・外部設計や内部設計で作成した設計資料をオフショアへ渡し修正を依頼する。

・オフショアから開発の成果物が送られてきたらレビューを行う。

・修正ミスや単体テストで足りないケースがあれば指摘し対応を行ってもらう。

⑤結合テスト

・修正箇所を基本全て通るようにパターンやケースを作成する。

・NISA口座の開設や閉鎖した際の動き、利用額が限度額を超えた場合はどのようになっていればOKかなどの確認項目を作成する。

・テストデータを用意しテストを実行する。

・結果を確認し想定通りになっていることを確認する。

・想定と異なる結果となった場合は原因の調査を行い、開発の不備やテスト準備の不備などがあれば対応し再テストや追加テストを行う。

⑥接続テスト

・本番稼働を想定して他システムとHULFTでデータのやり取りを行い結果を確認する。

・結果に問題があれば調査を行い、他システム側に問題がある場合は相手側に修正してもらい再度データを貰う。こちら側に問題がある場合はこちらが修正し再度データを渡す。

⑦実施準備

・実施に向けて本番環境へどの資源をいつUPDATEするかを整理し、UPDATE準備を行う。

・何を確認しどのような結果であればOKとするか、問題があった場合はどのように対応するかを記載したコンチプランを作成する。

・実施確認に使用するツールや問題があった場合に使用する前回戻しなどの準備を行う。

⑧本番実施

・UPDATE後、本番環境に反映されているか資源の確認を行う。

・データの初期移管後、データが想定通りに作成されていることを確認する。

・本番稼働したらデータを確認し想定通りの結果となっていることを確認する。従来のNISAの非課税枠の利用額は現行通り更新されるか。新NISAの非課税枠の限度額は正しく設定されているか。HULFTデータは想定通りに作成されるか。などを確認。

 

以上が新NISAの対応の流れとなります。

案件によっては外部設計が無かったり、接続テストが無かったりなど変わってきますが、基本的には上記の流れとなります。

5.最後に

ここまで簡単に説明してきましたが、どのように開発しているのかを少しでもイメージしていただけたり、NISAや証券業務にも興味を持っていただくことができたら幸いです。