社長が新型コロナに感染した話 (後編)

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いつも「CSS Innovation LAB」をご購読頂きまして、ありがとうございます。

シー・エス・エス ホールディングス他、シー・エス・エスグループ各社の代表取締役を務めております、佐川です。皆様には、いつも弊社を応援して頂き、心から感謝申し上げます。

 

新型コロナウイルスが世界中に猛威を振るい、日本国内でも2021年7月に入り、感染者が再び爆発的に増加し、未だに収束の目途が立たない状況です。このような状況で、弊社では、従業員の安全と事業継続を何としてでも確保する為、関係省庁、自治体の対策に先駆けて2020年1月から感染防止対策を取ってまいりました。そういった対策が功を奏し、2021年6月までは、弊社グループの役員および従業員に感染者が全く出ていない状況でございました。

 

そのような中で、7月に入り、弊社グループで初めての感染者が発生しました。その感染者が、私でございます。

 

今回のブログでは、代表取締役である私個人の対策や感染中のリアルな状況をお伝えさせて頂くことで、ご購読頂いた皆様の感染防止や危機管理等に少しでもお役に立てて頂ければと思っております。

 

前編では新型コロナに罹患しないために自らが行っていた対策や罹患が発覚してからの保健所や自治体の方々の対応、そして自身の体調についてお伝えしました。

今回は後編として、その後体調が悪化して入院するに至った経緯や状況、新型コロナ感染を経て感じたこと等をお話していこうと思います。

 

前編はこちら

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症状の悪化

体調が多少悪くはありましたが、テレワークで重要な会議への出席や個別の報告等の対応をこなします。熱は高くても37度台の後半くらいに抑えられ、平熱と微熱を繰り返すような状況でした。症状は個人差があるようですが、私の場合は、良くなったり悪くなったりを繰り返し、結構長引く印象でした。

 

そのような状況が継続しておりましたが、症状が出てから9日目に悪化します。息苦しさが増し、咳が頻繁にでるようになりました。翌日も症状が改善しない為、保健所から入院を勧められ、応じることに致しました。その日のうちに入院先の病院を手配して頂き、病院への移動は、民間の救急車で向かいます。

 

ここからは療養に専念することにし、一週間後までの全ての予定をキャンセルし、メールやチャットについても、内容は確認だけにして、返信はしないことに致しました。不在時の対応は、原則、普段から信頼している取締役の皆にお願い致しました。

 

この時点で思ったのは、「最悪の事態も想定する必要がある」ということです。急に重症化する患者がいるとの話は報道などで聞いていましたので、念のため、妻にはそうなった場合の対応について、話しておきました。かなり、不安にさせてしまったと思います。

 

隔離された病室に入院

 救急車が迎えにきて、40分~50分程の少し離れた病院に入院することになりました。ここは、結核患者を受け入れるために建てられた古い病院で、周囲から隔離された森の中にあります。病院に到着すると、受け入れに時間が掛かり、1時間程、救急車の中で待機することになりました。この時は、病院はひっ迫しているという状況ではないとされていましたが、それでも、受け入れ時点でこのような状況で、やはり平時と比較すると、多少混乱している印象を受けます。

 

その後、先ずは、CTスキャンと胸部レントゲンを撮り、病室に移動します。完全に隔離された病室で、気圧のコントロールの為、病室内の空気を大型の換気扇で太いダクトを通して常に外に向けて排出していて、廊下側に空気が漏れて行かないようになっています。この換気扇が非常に大きな音で、飾り気のない個室の中で、部屋からは出ることが許されない状況でして、何日も留まることになった場合、精神的に耐えるのが厳しいのではないかと思いました。更に、病室内のテレビが故障しておりまして、換気扇の大きな音だけ響く中で過ごすことになります。

 

看護師さんが、防護服、マスク、ゴーグル、手袋と完全防備で対応をしてくれます。この一式の装備は、なんと、病室に入るたびに着て、一つの病室から出るたびに、直前に全て破棄します。これだけでも重労働だと思います。看護師さんに、検査の為、注射2本分の大量の採血をして頂きました。両腕から採血したのですが、片腕で5分以上かけていたと思います。注射針を刺したところは、真っ青なアザができておりました。

 

担当のお医者様が看護師さんと同じく完全防備で病室まで来て下さり、CTスキャンとレントゲンを確認した診断結果を伝えてくださいました。肺の状態は、白いすりガラス状の新型コロナ感染者特有の肺炎の状態になっているとの事でした。お医者様からはその際には言われませんでしたが、後から調べたところ、中等症Ⅰということになるかと思います。オキシメーターの値は、この時点では97%前後で、血中酸素飽和度は正常値の96%を上回っておりました。

 

酸素飽和度の低下

 入院2日目の翌日、感染してから10日が経過し体内のウイルス量が減って、他者への感染リスクが無くなるとのことで、隔離病室から一般病室に移ることができました。病室のある同じフロア内であれば、自由に移動していいとの許可も頂き、隔離病室での精神的な苦痛から解放されました。

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森に囲まれた一般病室のベッドからの風景

 

ほっとしたのもつかの間、熱が38度近くまで上がってきます。更に、オキシメーターの血中酸素飽和度が89%というかなり低い値を示すようになりました。この時は夕方くらいだったと思いますが、就寝までに改善しなかった場合は、酸素投与を行うとのことで、チューブ等の機器の準備を看護師さんが始めます。食事も前日から喉を通らなくなってきました。全く食欲がなかったのですが、食べないと体力が落ちて病気が悪化すると思い、涙目になりながら、30分以上時間を掛けて、必死で食べていました。感染してから、食べることが一番苦しかったことです。何とか食べて、早く治して、仕事に復帰しないと、みんなに迷惑かけられない、まだまだやらなきゃいけないことがある、そんなことを思いながら、一口ひとくち、食事を飲み込みます。

 

この時は、重症化のリスクも出てきたと思い、緊張感がかなり高まりましたが、就寝前までに酸素飽和度が95%くらいまで改善します。なんとか、酸素吸入はしないでも大丈夫な状態になり、ここから改善に向かいます。入院から5日後には退院することができました。翌週から仕事も復帰することができましたが、初期症状が出てから17日後の復帰となりました。

 

最後に

先ず、反省すべき点は、陽性発覚後に在宅で仕事をしてしまったことです。テレワーク環境が整っているため、仕事ができてしまいます。ここは安静にすべきでした。もしかしたら、長引いてしまった原因になってしまったかもしれません。感染したら、治療に専念すべきです。責任を感じて無理をする人もいると思いますので、そういった人に対しては、周りの人が止めてあげた方がいいと思います。

 

そして、今回、保健所、医師、看護師の方々といった医療関係者、在宅で隔離治療中に食事を届けてくれた自治体や宅配の方々、民間の救急車の方等を目の当たりにしました。皆さん、まさに命を懸けて対応してくださっていて、本当に、心から感謝申し上げたいと思います。

 

こういった方々に対し、我々が生業としているITにより、解決できることも多いと感じております。リモート環境の提供により、FAXや電話での対応や出社して密な環境での仕事をなくし、作業の省力化や効率化により、現場の負担を大きく減らすことが可能です。最前線の方々は本当に危険な状況で働いて頂いていることについて、非常に心苦しく思いました。我々の技術が世の中に届けられていない事を痛感しております。

 

今回の経験をしっかりと記憶に刻み、これから我々が何をすべきか考え、そして社会に貢献していきたいと思います。

 

新型コロナに感染すると、仕事への影響も大きく、命の危険もある、大変厄介な病気です。自分の身は自分で守る、周囲に感染させないという意識が必要です。改めて、皆さんが、気を引き締めて、感染防止を徹底することを望みます。

 

一日も早い新型コロナの収束と、感染されている方々の回復をお祈り申し上げます。

 

Profile

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佐川 学

 

株式会社シー・エス・エスホールディングス 代表取締役

株式会社シー・エス・エス 代表取締役

株式会社リライフ・ジャパン 代表取締役

株式会社Q 代表取締役会長兼CEO

株式会社サクセス 取締役

一般社団法人東京都情報産業協会 理事

特定非営利活動法人日本情報技術取引所 理事

 

1971年生まれ まもなく50歳

趣味はキャンプですが、子供が大きくなり、最近付き合ってくれない