近年AIやIoT、ビッグデータをはじめとした最新テクノロジーの発展に伴い、かつてないペースでビジネスや人々の生活に変化が起きています。
企業は変革によるニーズに応えるべく、最新のテクノロジーを活用した「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の実現が期待されており、多くの企業が業務システムのクラウド移行を進めています。
クラウド環境へシステムを移行することにより、運用工数の削減や柔軟性の向上など、様々なメリットを享受できます。
本記事では、なぜ今クラウド移行を行うべきなのか、オンプレミスの業務システムを長期間利用し続けることで生じる課題点や、システムをクラウドに移行するための具体的な手法をご紹介します。
自社でクラウド移行を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.オンプレミスの現状
1-1.2025年の崖
「2025年の崖」という言葉をご存じでしょうか。
2018年に経済産業省が発表したレポートに明記されており、広く関心を集めている言葉です。
現在、企業で利用されている既存システムが「老朽化・複雑化・肥大化・ブラックボックス化」することで多様化するビジネスモデルに対応できなくなり、企業同士の競争力が低下、国際競争への遅れや経済の停滞が起きる問題のことを指します。
2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりなどがこの停滞を引き起こすとされています。
オンプレミスの業務システムを長期間利用し続けることで多額の経済損失が起きるのです。
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
「2025年の崖」の影響をもっとも大きく受けるのは、レガシーな既存システムに対して何も対策を施さなかった企業です。
昨今のIT技術の発展に伴い消費者ニーズは多様化しており、新しいビジネスモデルが次々に生まれています。
システム変革に真剣に取り組まなければ、時代の流れについていくことはできず、企業として生き残ることは困難です。
つまり、クラウド移行は全ての企業にとって避けては通れない経営課題となっています。
1-2.オンプレミスとクラウドを比較
では実際に、オンプレミスとクラウドの機能比較をした表をご覧ください。
オンプレミスは
- 無駄なコストと場所が必要
- テレワークやサテライトオフィスに対応しにくい
- 災害リスクがありBCP(事業継承計画)の足枷になる
とされています。
一方で、クラウド化することで
- オンプレミスのシステム管理コストや運用負担が大幅軽減
- テレワークやサテライトオフィスに即時対応
- 災害時でもデータの保全が可能になる
これらを実現できます。
2.システムをクラウドに移行する手法
それでは、実際にシステムをクラウドに移行する手法をご紹介いたします。
オンプレミスからクラウドへ移行する方式としては主に「リフトアンドシフト」「リプラットフォーム」「リファクタリング」「再購入」の4点があげられます。
既存のシステムを移行する方式としては「リフトアンドシフト」があります。
これはオンプレミス上の既存システムをそのままの構成でクラウドに移行する方式を指します。
クラウド上に新規にシステムを開発する方式は「リプラットフォーム」「リファクタリング」「再購入」が該当します。
これは既存のシステムをクラウド上に作り直す、という考え方で、システム要件をそのままにしながらクラウドに沿った構成にする方式です。
これら4点は、移行にかかるコスト、時間で大きな違いが存在します。
「リフトアンドシフト」はそのほかの方式と比較して大きく難易度が下がるため、移行のコストも期間も低く抑えることができます。
したがって、既存システムを移行する場合には、まずは「リフトアンドシフト」を検討してみるといいでしょう。
3.リフトアンドシフトとは
「リフトアンドシフト」とは、社内リソースや教育コストの問題を考慮し、一気にクラウド化するのではなく2段階に分けてクラウド移行する手段のことです。
「リフトアンドシフト」によるクラウド移行は、大きく「リフト」と「シフト」という2つのステップに分けられます。
3-1.リフトとは
「リフト」とは、既存のオンプレミスシステムをそのままクラウド環境へ持ち込むことです。
クラウド移行を実現するためには、はじめにオンプレミス環境に存在するデータなどをクラウド環境に移す必要があります。
移行することにより、
- 高可用性
- 運用不可の軽減
- 耐障害性
- 災害対策
の4点が実現します。
3-2.シフトとは
そして、 「リフト」が完了した後は「シフト」を行います。
「シフト」とは、クラウドへ持ち込んだ業務システムを徐々にクラウド環境に最適化していくことです。
元々オンプレミスで運用していたシステムは、そのままクラウド環境で利用することはできません。クラウドの特性を踏まえながら、自社の生産性向上や業務効率化に繋がるよう、少しずつシステムに修正を加えていきます。
移行することにより、
- リソース最適化とコスト削減
- 高いスケーラビリティ
- 社内リソースをより高付加価値な領域にシフト
という3点を実現させます。
4.終わりに
ここまででオンプレミスの現状や、なぜ今クラウド移行をするべきなのか、クラウド移行の実際の手法について説明させていただきました。
「リフトアンドシフト」は低コスト、短期間での移行を実現させることができます。また、クラウドについて詳しい人材が少なくても実行させることが出来、「リフトアンドシフト」を実行する過程でクラウドの有識者を育成させていくことも可能です。
しかし、「リフトアンドシフト」を行うに当たってはリスクの検討や影響範囲を検討する必要があります。
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