貸株サービスとは?仕組みや注意事項をご紹介

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皆さんこんにちは。ファイナンシャル・ソリューション開発部の豊富です。

ファイナンシャル・ソリューション開発部では主に証券、銀行系のシステム開発に携わっております。

 

今回はその中でも私が担当している証券業務の「貸株サービス」についてご説明させていただきます。

 

1.貸株サービスとは?

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投資家が保有している現物株式を証券会社に貸し出すことにより、相応分の貸株金利を投資家が受け取ることのできるサービスです。

 

2.貸株サービスの仕組み

証券会社は投資家から借りた現物株式を機関投資家に貸し出すなどの運用を行うことで証券会社は機関投資家より金利を受け取ります。

証券会社が機関投資家より受け取った金利は、貸株金利として投資家に支払われます。

 

証券保管振替機構の管理上、現物株式は顧客口(60)から自己口(00)に振替えられます。

顧客口(60)から自己口(00)の口座間振替には2営業日必要となりますので、貸株金利が発生するのは投資家の貸出し手続きが完了して2営業日後となります。

※貸株金利の発生日、利率は証券会社により異なりますので、証券会社のHPを参照してください。

 

3.貸株サービスの注意事項

現物株式を証券会社に貸し出すことにより、株式の所有権は貸出先に移転しますので株主としての権利は取得できなくなります。

※証券保管振替機構の管理上、現物株式は自己口(00)に振替に振替えられていますので証券会社が株式を保有していることとなります。

3-1.配当金

証券会社へ貸し出したままの場合、発行会社から投資家へ直接配当金の支払いはされませんが、配当金に相当する金額を証券会社より投資家へ支払われます。

但し、証券会社から支払われる配当金に相当する金額は税務上「雑所得」で計上され、配当控除や上場株式等の譲渡損との損益通算の対象にはなりません。

3-2.株主優待、議決券

証券会社へ貸し出したままの場合、株主優待や株主総会の議決券などは取得することは出来ません。株主としての権利は取得するには、権利確定日に貸し出した株式を貸株から外す手続きをしなければなりません。

※証券保管振替機構の管理上、現物株式を自己口(00)から顧客口(60)に振替えるには2営業日必要となります。その為、株式を貸株から外す手続きは権利付最終日までに行う必要があります。

 

各証券会社では株主としての権利は取得するために権利確定日に貸し出した株式を自動で貸株より外すサービスを提供しています。詳細は各証券会社のHPをご参照ください。

 

 

4.貸株サービスと信用取引の併用について

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信用取引口座を開設していると現物株式は代用有価証券となり信用取引の余力に充てられます。

 

信用口座を開設し、貸株サービスを利用すると代用有価証券は貸株として証券会社に貸し出されるので信用取引の余力が下がります。

その為、証券会社が貸株として借りている代用有価証券の担保金相当の金額を投資家の信用余力に補填することで信用取引の余力を維持しつつ貸株サービスを利用できるようにしています。

※貸株サービスと信用取引の併用については行えない証券会社もあります。

 

5.帳票の記載について

貸株の貸出し、返戻については、入出庫同様に帳票に記載する義務があります。

また貸株金利も入金として帳票に記載しなければなりません。

取引残高報告書、振替口座簿、顧客勘定元帳などの帳票が対象となります。

 

6.最後に

今回は貸株サービスの基本的な内容について書かせいていただきましたが、貸株残高の管理、貸株金利の計算方法などは証券会社により異なりますので割愛させていただきました。

現在は多くの証券会社で導入されている貸株サービスではありますが、新規にシステムを構築した時には導入している証券会社も少なく、新しく聞く用語が多々あり用語の定義をすり合わせるのにかなり時間を要しました。特に帳票等に記載する文言については投資家を基準とした場合と証券会社を基準とした場合で出入が異なりますので注意を必要としました。

 

同じ貸株サービスであっても証券会社ごとにいろいろな特色があります。

各証券会社の貸株サービスの特色をご理解したうえで貸株サービスをご利用していただけたらと思います。